08 組織風土

組織戦略上、「組織風土」の項目は最も難易度の高いものと言ってよいと思います。

その理由は、目に見えないものであること、とらえどころがなく、何をしたらどうなるという、打ち手と結果の因果関係が明確でないこと、企業(組織)によって一つとして同じ環境はないこと(成功事例をそのまま真似てもうまくいかない)などでしょう。

戦略的に考えにくいものである上に、漫然と放置すると低きに流れる(悪化方向)という重力として働く性質も持っていて、何らかの取り組みをしないわけにもいかないという、実にやっかいなものなのです。

マングローブでは、次の3つのポイントを重要視して組織風土のコンサルティングを行っています。

組織風土を醸成する3つのポイント

1.組織風土を経営する

「戦略的に考えにくい」というのは事実なのですが、流れに身を任せることなく、意思を持って取り組むことが第一歩です。

これを「組織風土を経営する」と言っています。

色々なものを削ぎ落として、最もシンプルな本質に基く「経営」の定義は、「意思を持って計画し実行すること」だと考えます。

これを組織風土に置き換えた時の「意思」とは、「事業戦略に照らして実現したい風土のテーマを決める」ということです。

そして、その実現に向けた施策を計画的に実行していきます。

「事業戦略に照らして実現したい風土」は、社長をはじめとした経営陣とのセッションを通じて描いていきます。

例えば、新しいものを生み出さなければいけない、という事業上の課題を抱えている場合には、社員、特に若い人達が自由に発想し、思いつきを無駄にしない風土が重要になるでしよう。

逆に、高い確実性が要求されるような仕事が中心になるような場合には、集中する時とリラックスする時のメリハリのある風土が必要になるでしょう。

このように、事業の戦略や方向性、業務の性質等に合わせて組織風土を考える、理想の状態を設計することが基本です。

単に「前向きな風土」「オープンな風土」等と一般的によいとされる風土を目標にすることは、結果的によい場合もありますが、意味がない場合もあります。

このように、事業戦略に照らして実現したい風土のテーマ設定を行った後に必要になるのが、「組織文化の創造」です。

さて、組織風土と組織文化という言葉が出て来ました。この言葉は、一般的にほとんど同じ意味として使われている場合が多いようです。

しかしながら、これは別物でありまして、その違いを理解して取り組む必要があります。

2.風土と文化の違いを理解する

文化と風土の違いを次のように考えています。

組織文化とは、理念や哲学といった価値観に基づいた、意思的な行動を伴う組織内に浸透徹底される行動様式やコミュニケーションのスタイル、暗黙のルール、不文律等のことを言います。

組織風土は、組織文化の有り方が単独や、いくつかの文化の組み合わせとして、結果的に生まれる組織内の雰囲気、意識のあり方、体質、思考習慣等を言います。

「意思的な行動を伴う」とあるように、組織文化は意図して積極的に形成していくものであり、組織風土は結果として、あるいはいつの間にか勝手にでき上がってしまうものなのです。

文化は“culture”ですが、この言葉の語源は、ラテン語で「耕作」とか「手入れ」「耕す」「手で耕す」という意味から来ているのだそうです。

組織風土や組織文化を、企業の土壌と考えますと実にふさわしい言葉に思えます。

一方、風土は“climate”です。これには、「ー地方の年間を通じての平均的気象状態」という意味があるのだ そうです。簡単に言えば「天候」です。

文字通り、人為的ではなく自然にでき上がってしまっているものということです。

文化から風土が醸成された2つの例を見てみましょう。

08 組織風土

このように、組織風土は結果として、勝手にでき上がってしまうものだと言えます。

「自律的な風土」を醸成したいと願いながら、「トップダウンの文化」を続けているというのは、一般論としては、矛盾していると言えるでしょう。

この組織風土と組織文化の関係は、研究者の間では、議論の分かれるところであり、組織文化の方が全体的、抽象的なものとしてとらえ、組織風土の方をミクロのものとしてとらえる考え方も伝統的にあります。

マングローブでは、いくつかの組織文化の集合体 + α で、結果的に醸成されるのが組織風土だ、という立場をとっています。

3.着実に実行する風土

企業(組織)によって一つとして同じ環境はないので、自ずから内容は異なってきますが、業種業態を問わず共通して実現したい風土のひとつが「実行力のある風土」ではないでしょうか。

「 実行力のある風土 」を醸成していくための文化として、「GOOD&MOREの文化」をお勧めしていま す。

【GOOD&MORE】は、マングローブが最も大切にしている考え方で、まずはチームの理想の状態をイメージして、「GOOD=実現できていること、うまくいっていること」と「MORE=これをすれば理想に近づくこと、さらに必要なこと」を整理にして、現在地(理想像が 10 だとした時の現在の到達点)を明確に共有して、10 の目盛りをひとずつ上げていく(HERE&NOW)考え方です。

  • 理想像によって、目指す方向が共有できる
  • GOOD をきちんと認識することが勇気と活力につながる。
  • HERE&NOW(目盛りを一つ上げる)で、これならできる感を持って取り組むことができ、小さな成功を着実に積み上げていく姿勢につながる。

会社を見る際も、チームを見る際も、部下を育成の観点で見る際も、自分自身の棚卸しをする際にもこのフレームを徹底していきます。

これが「GOOD&MORE の文化」であり、「GOOD&MORE のメガネをかける」という言い方をしています。

「GOOD&MORE」の対語は「BAD&NO」です。

できていることは、「やって当たり前」で、できていないことや問題点を、「あれも駄目、これも駄目」とばかりに駄目出ししていくスタイルです。

これが全社的な傾向となっている状態を「BAD&NO の文化」、別名「駄目出しの文化」と言います。

「BAD&NO の文化」を「GOOD&MORE の文化」に変えていくことによって、実行力のある風土を醸成している事例が増えています。