能弁さの罠にはまらないこと

2015年3月6日金曜日


「能弁さの罠」という言葉がある。

これは、スタンフォード大学のJeffry Preffer教授が示した考え方で、英語では「smart talk trap」という。

組織内のコミュニケーションの量と、その組織の活性度が比例するという考え方は、よく言われることであるが、この「能弁さの罠」という問題は組織変革にとって、とてもやっかいなものである。

能弁さの罠とは、「他者の話に批判的にふるまったり、批評したほうが格好よく見える」「能弁さを伴う批判や懐疑的な意見が、せっかくのアイデアの実行を複雑・困難なものにしていく」という見解である。

某社の変革プロジェクトチームの活動報告の場でのことである。

4つの改革プロジェクトのチームが順番に役員会に活動の中間報告をしていた。

それぞれのプレゼンテーションに対して、役員陣と経営企画スタッフから活発な質問が飛び出し、意見交換も行われた。

社長は活発なやり取りに満足したと見え、会議後も上機嫌であったが、プレゼンしたプロジェクトチームメンバーの表情は決して明るいものではなかった。

なぜなら、どのプロジェクトも結局のところ具体的に決まったことはほとんどなかったからだ。

役員陣と経営企画スタッフからの細かい突っ込みに必死に答えていただけというのが実情である。

突っ込みの内容は「何々のリスクはどう考えているのか?」であったり「これからの市場の変化をどう考えているのか?」であったり、「何々については調査したのか?」といった安全を担保する発言ばかりで、新しいことに挑戦することで事態の打開を図ろうとするプロジェクトチームのパッションに、どちらかというと水を差す結果になっているものであった。

さすが、長年組織の中を上手に生き抜き、上り詰めて来た歴戦の勇士たちで、結果はどうであれ、実に能弁で色々な角度から問題を捉えている人に見えるのである。

このような時にやっかいなのは、会議の参加者の中に、最高権力者である「社長」の目を多分に気にする気持ちが存在し、「能弁」な自分を演出してしまう者が多くなることだ。

元ホンダの小林三郎氏は、真にイノベーションが起こる組織の条件として、次のように言っている。

「40歳を超えた、分別のある(頭の硬い?)人は、自分でイノベーションをやろうとせずに、若い人に本質を問う!そして、①答え型と②目を見て 判断することが重要。」

この答え型の「型」というのは、本質とコンセプトのことである。

要するに、若い人にしか分からない現場の細かいことに口を出して、本質とコンセプト、大目的や方向性を見失ってはいけないということである。

本質とコンセプト無き「能弁の罠」にご注意を!!

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※企業や個人を特定できないよう、事実に基づき一部脚色しております。