M&Aで消えていった老舗

2015年2月10日火曜日


某社が、豊富な資金を生かして、M&A戦略のアクセルを踏んでいた。

しかも本業へのシナジーを狙って、全くの異業種の複数社の買収という場合もあった。

買収した同業界の2社がある。

1社は業界の老舗(A社)で、取り組みの派手さや、大きな業績の成長率は無いものの、熱心な固定客、ファンを獲得していた。
名物社長が創業の精神を大切にして、地道に作り上げて来た会社である。

もう1社は同じ業界の新鋭企業(B社)で、業界に新風を送り込むべく、色々な新商品を投入し、泣かず飛ばずのものが多かったが、いくつかのヒット商品で業績は伸びていた。

1年間は、経営陣をそのままに活動を並行しながら2社の統合プランが進められていた。
コンサルタントのアドバイスは、両社の強みと弱みの慎重な分析と、創業の精神の尊重とグループのシナジーの両立という、難易度は高いが、AND思考で考えていくというものであった。

両社の統合をスムーズに進めるために、アレルギーを和らげる施策も同時に練られていった。

予定されたものより数ヶ月遅延気味の スケジュール、ロードマップを見直している矢先のことである。

業を煮やしたグループのTOPの号令であろう。
スケジュール厳守で統合を急ぐことに。
両社の現状はともかく、全く新しい会社を立ち上げる体で、親会社から幹部が乗り込み、スピード重視の統合作業が進められた。

プロセス重視のコンサルタントは解任された。

統合後の全く新しい会社の出現というコンセプトから、社長は親会社の役員が派遣され、最年長の老舗A社の社長は顧問(実質退任)、B社の社長は副社長となった。

かくして全く新しい会社が華々しく誕生したのであるが。
その後の同社に起こったことは、目を覆わんばかりの惨状であった。

・創業社長を慕っていたエース社員達の退職
・長年の固定客の離脱
・社内の荒廃(創業の精神の喪失)

それでなくても、M&Aのデューデリジェンスで見えにくい無形の財産が、性急な統合と、親会社の業績至上主義とスピード重視の文化の前に、朽ち果てる運命となったのである。

leadership concept
※企業や個人を特定できないよう、事実に基づき一部脚色しております。