思いベースのマネジメントへ

2016年11月10日木曜日


人を「資源」として見るのではなく、「人」そのものとして見る。

 

「人をカネやモノと同次元のリソース、人的資源としてみる資源ベースの人事から、人間の主観や価値観をベースにした知識ベース、“思い”ベースの人事へと転換しようとする流れだ」

 

野中氏は「90年代後半以降、日本の人事部は、それまでのぬるま湯的な人事体質を筋肉質に変えて、効率重視の組織や透明でフレキシブルな人事制度を構築してきた。それにより、株主重視、利益率重視の経営戦略に寄与してきた。こうした動きの論理的な背景にあったのが、人をカネやモノと同次元のリソースとみる経営戦略だ」

と言い、さらに続けます。

「はじめにあるべき理論が提示されていて、人をそれに合わせて調達し、動かせばいい(中略)人事はあたかも戦略企画部門の下部組織のようになり、制度を構築し、ツールを開発する制度志向の人事へと変質していった」

「実際スーパーマンのような理想的人間像を抽象化して個人の欠陥を指摘・矯正するコンピタンシーモデルなどはその典型」

と言い、この文脈の中で、ボスの役割を次のように定義されました。

「ボスの役割は、不完全な部下とよりよい仕事のやり方を対話と実践を通じて開発することにあり、欠陥の即時修正を納得させることではない。後者は非生産的なゲームと足の引っ張り合いを助長するだけである」

 

この「ボスの役割は~欠陥の即時修正を納得させることではない」というくだりに、非常に共感を覚えます。

社員をいくつかの階層(レベル)に分けて、一律の理想像を意識的に(あるいは無意識のうちに)掲げ、それからの欠陥を明確にして修正させるという「減点方式」から、一人ひとりの「思い」に基づくマネジメントを考えなければ、社員一人ひとりの才能と可能性とエネルギーにおいて、膨大な損失をしているということになるのかもしれません。

 

そもそも完全な人間は最初からいないわけで、欠陥の修正ではなく、不完全ながらも、よりよい仕事のやり方をしていこうという意思、“思い”が重要であるということです。

しかも、それを「仕組み」「システム」に頼るのではなく、「対話と実践を通じて」開発することが重要であると。

 

今日のブログは野中先生の言葉が多くなってしまいました。
「“思い”をベースにしたマネジメントのしかけを、MBB(management by Belief『思いのマネジメント』)と名づけた。MBBを推進することが人事の主要な役割なのである」

野中氏は結論的に(management by Belife)の推進こそが人事の仕事であると結論づけます。

この「MBB:思いのマネジメント」については、またブログで取り上げます。

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今野 誠一Seiichi Imano
企業経営にあたりつつ、自らも第一線のコンサルタントとして、組織変革コンサルティング、経営幹部教育プログラムや管理職研修のファシリテーション、企業理念構築や経営ビジョン構築ワークショップのファシリテーションなどを担当している。