人事部門に必要なセンスとは4(現場が結果を出すための支援をする)

2015年5月26日火曜日


今、あの頃(某社人事部長時代)に戻れるとしたら、もっとうまくやれるのになあ、という妄想から始まったこのシリーズも4回目となりました。

「人事部門に必要なセンス」と大層なタイトルをつけましたが、まあ自己反省文みたいなものですね。

今回のテーマは、「現場が結果を出すための支援をする」です。

この文末を「支援する」と考えるか、「管理する」と考えるかで、意味は大きく違って来るわけです。

「名は体をあらわす」と言いますが、管理部門とはよく言ったものです。

前のブログで触れたように、事業戦略が先にありきで、それを着実に実践し結果を出していく現場にするための戦略が組織戦略だとすると、人事部門が意識すべきは、迷わず「支援」ということになりますね。

現役当時にもっと力を入れておけばよかったと思うことは3つあります。

1.適時適切な資源の供給

一つは、受身ではない、積極的な現場への「資源の供給」ということですね。

当時半年は組織や人事を動かしていくタームになっていました。

年中行事のように、その時期が来ると役員にヒアリングをして、人員の要請を集めます。

この要請と社長の考え方を調整していくことが自分の仕事だったわけです。

これはこれで、一定レベルの仕事ができたとは思います。

しかしながら、理想の姿としては、「提案型」であるべきだったと考えています。

各持ち場の人員体制を常に頭に入れた上で、その持ち場のクォーター毎の業績の状況を把握している。

その上で、それに全社的な方針を掛け合わせて、戦力増強が優先的に必要な部署はどこかを自分なりに考えている。

それができていると、単なる「御用聞き」ではなくなり、「状況を鑑みて、これこれこのように考えてはどうか」という提案先にありきの美しい姿であったろうと思います。

加えて、各部署の年次構成などは頭に入っていたので、全社一律ではない、現場社員の教育計画の提案などもできれば、さらによかっただろうと思っています。

現場社員の力量アップのための教育計画の提案なども、立派な「資源の供給」の範疇であろうと思うのです。

「御用聞き」と「全社調整」という受身かつ中途半端な仕事ぶりからの脱却を、今やれと言われれば目標にするのではないかと思います。

2.セーフティーネットとしての人事部門

二つ目は、現場社員の十分な駆け込み寺になれていたかどうかという反省です。

型どおりの「自己申告制度」は存在していました。

現在の環境への満足度、仕事への満足度と、異動希望の有無と具体的な希望内容を聞くフォーマットになっていましたが、提出率は決して高いとは思いませんでした。

提出率が低いということが、現状に満足していると短絡的に取れば取れないこともありませんが、一方では、こうしたシステムに乗りたくない人も多いのではないか、という仮説もありうるわけです。

自分が預かっていた人事部門が、社員からみて敷居が高くなかったかというと、どちらかというと高かったのではないかと思います。

悩んだ社員が気軽に相談に来られるような、開かれた人事部門であったかどうか。

人事に話が来た時には、鬱病になって長期の休養が必要な状態だったり、多額の借金漬けで首が回らなくなって、バンザイ状態で相談に来ていることが実態でした。

これまた今再びやれと言われれば、オペレーションに携わる社員を極限まで減らし、経営を説得して現場からシフトしてでも、敷居を低く社員が相談に来られるような、言ってみれば「駆け込み寺」的な機能を持たせるよう考えようと思います。

全社のセーフティーネットとしての存在であることは、現場を支援する人事部門の大きな役割であると思うのです。

3.エネルギーを上げる

三つ目は、戦略を実行し目標を達成していくための現場のエネルギーを上げる施策についての反省です。

私のいた会社は、伝統的に組織の活性化のための全社施策には力を入れている会社でした。

全社の一体感を高めるためのイベントや、社員同士が仲良くなるためのコミュニケーション施策には、他社と比べても予算を投下していたと思います。

人事部門としての反省は、そうした伝統に甘んじることなく、部門独自の努力でこまめな施策を考えればなおよかったと思っています。

今回は「今、やれと言われれば」という言葉が続きますが、もっとフットワークを生かして、お金をかけるのではない、小さくても「粋な」施策を考えるのではないかと思うのです。

どこどこの部署が目標達成をした、という情報が入れば、できればその日のうちに、遅くても翌日には花か、何らかの差し入れを持ってお祝いに駆けつける。

祝勝会があると聞きつければ、これまた乱入して一緒になってお祝いを盛り上げる。

新人の初受注があったと聞けば、駆けつけて握手をし、今後への期待を伝える。

等々、要は仕組みに頼らずに、「現場に期待し」「注目し」「一緒になってさらによくしようと思っている」という思いを、直接表していくことをするのではないかと思います。

また、伝統的な組織の活性化の考え方を踏襲していくだけではなく、自分の実感と考えで新たなエネルギーアップの考え方を編み出すこともできれば、さらによかっただろうと思うこともあります。

ただ、これは簡単なことではないですね。
コンサルティングをするようになって、「6つのエネルギー」「理想像と3つの&(GOOD&MORE、HERE&NOW、MOVE&THANKS)」などの、独自の考え方で、組織の変革や活性化を支援できるようになりましたが、これは、17年という歳月と数百社のコンサルティング経験があって確立するに至ったものです。

当時そこまでやればよかったと振り返るのは、少し欲張り過ぎかもしれません。

さてさて、タイムマシンに乗ることはできないので、後の祭りではあるのですが、この「今、やれと言われれば」の思いをさらにコンサルティングに生かしていきたいと思う、今日この頃です。

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今野 誠一Seiichi Imano
企業経営にあたりつつ、自らも第一線のコンサルタントとして、組織変革コンサルティング、経営幹部教育プログラムや管理職研修のファシリテーション、企業理念構築や経営ビジョン構築ワークショップのファシリテーションなどを担当している。