管理職は「キャッチャー」

2016年6月29日水曜日


「抑えたら投手の手柄、打たれたら捕手の責任」

野球の世界では、そう言われることがあります。

多くのキャッチャーが心に留めていることでしょうが、古田敦也氏が『うまくいかないときの心理術』という本で語ってくれています。

 

言葉を少し変えると、会社の管理職にも当てはまります。

「結果が出たら部下の手柄、失敗したら上司の責任」

「成長したら部下の努力、停滞していたら上司の怠慢」

といった具合に。

 

 

古田氏が言うには、「これは投手のコントロールミス」と言いたくなるときもあるそうです。

そりゃ、そうですよね。

結果は出ても自分の成果にならないし、失敗したら自分の責任。

「ザ・理不尽」極まりない状態です。

 

しかし、実際に投手の責任を言及してしまうと、監督からは「言い訳をする選手」と思わる。

投手からは「抑えた時は自分の手柄で、打たれたら投手の責任にする捕手」と信頼を失ってしまいかねません。

そして、何より「言い訳は進歩の敵」。

他責にすると自分の成長を止めてしまうことになり、さらに周囲の雰囲気も害すことも。

 

キャッチャー

 

 

「部下の結果が出たら自分の指導の賜物、失敗したら部下本人の責任」。

管理職の方で、こんな風に考えている方いませんか?

一方で、「成長したら自分の育成のおかげ、停滞するのは部下自身の努力不足」と思っている上司や先輩。

これ、意外と多いんじゃないですかね。

いや、心の中でそう思うのは、「成長したら自分の育成のおかげ」って思うのは悪くないんですよ。

これも管理職としての仕事の一つの手ごたえですから、次の育成意欲にもつながります。

でも、「停滞するのは部下の努力不足」っていうのは。。。

 

「心でそう思うのは悪くない」とは書きましたが、「部下が成長したら上司の育成のおかげ」という上司の気持ちが、こういうのが伝わってしまうと、部下本人の成長意欲を削ぐことになってしまったり、古田氏の言うとおり相手との信頼を損ねてしまうことになりかねません。

これ難しいところで、「部下の成長を自分事のように喜ぶ」ということも、ものすごく重要なことで。

 

そして、「停滞するのは部下自身の努力不足」。

そう言いたい気持ちはわかりますが、こう思ってしまうと「管理職としての成長」が止まってしまいます。

そして、そういう姿勢の上司の元だと、部下自身の成長意欲自体が停滞してしまうでしょう。

 

 

「結果が出たら部下の手柄、失敗したら上司の責任」

「成長したら部下の努力、停滞していたら上司の怠慢」

こう聞いて、思う人もいるはずです。

「つまらない仕事だな、上司っていうのは」と。

 

うん、この気持ちもわかります。

ただ、そこは捉え方の問題かもしれません。

現に「キャッチャーほど面白いポジションはない」と思っている野球選手は、結構多いです。

 

プロの投手でも人間なので指示したところに投げられるというコントロールはあるわけではないし、誰もが速い球やキレッキレの変化球を投げられるわけではありません。

でも、持っている武器を駆使して、それで試合を組み立てていく必要がある。

もっと視野を広げると、チームのポジションごとの守備力も頭に入れながら。

 

料理人に置き換えると「今ある材料で最高の料理を作るには?」という考え方です。

組み合わせと味付けしだいで、材料の輝き方が変わる。

難しさでもありますが、それが醍醐味です。

 

 

「結果が出たら部下の手柄、失敗したら上司の責任」

「成長したら部下の努力、停滞していたら上司の怠慢」

これも、理不尽と思ったらそれまで。

これこそが、管理職の醍醐味なんですね。


林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。