「分化×文化」がマネジメントの鍵

2016年6月15日水曜日


多くの企業で、管理職がスーパーマン化しているように感じます。

一担当者としても優れた成果を上げることができ、プロジェクトマネジメントを滞りなくでき、部下をスキル的にも人間的にも育てることができる。

そして、経営者と同じ意識を持って、次の戦略を考えることができる。

素晴らしい人材ですね。

 

いや、実際にいる人がスーパーマンというわけではなく、役割等級定義がそうなっています。

 

もちろん、「スーパーマンになってほしい」「スーパーマンじゃないと駄目なんだ」という気持ちはわからないこともないのですが、、、本気で考えてみてください。

 

前述のようなスーパーマン、スーパーマンになれそうな人が社内にどれだけいるでしょうか?

 

どれだけ立派な人物像を描いたとしても、制度の中だけで踊っているようでしたら意味がありません。

それは現実離れしたものであり、つまり形骸化しているということです。

 

後述しますが、このスーパーマンを求める症状が、パワハラを生み出し、多様性を拒む会社を作る一つの要因となっています

 

 

理想を描くこと、期待すること。

それは、重要なことです。

人を諦めないというのは、マネジメントの根幹です。

 

しかし、「管理職なんだから、それくらい当然」と思って、組織体制を組んでしまうと、絶対にどこかでほころびが出てきます。

新人が放置型OJTの被害者となり、成長しない。

部署間の壁が生まれ、情報共有がなくなってしまう。

プレイヤーとして優秀だった人材が、管理業務に追われ、器用貧乏になってしまう。

といったことが。

 

 

「うちの管理職は管理職としての役割を発揮できていなくて」「うちの管理職はマネジメントに興味が持てなくて」という声は非常に多いものです。

にもかかわらず、上司が部下を管理するという一般的な組織構造で対応しようとしているのは、思考停止な状態と言えます。

言い換えると、“無責任な期待”をしているんですね。

管理職のマネジメント能力に。

 

だからこそ、管理職研修やそれまでの後輩指導経験が重要になるのですが。。。

育成という施策を打つ一方で、もうそろそろ現実的に考えてもいい時期だと思います。

 

管理職に全てを求めることを止めることを。

 

学校教育では、個性を伸ばそうといわれ続けてきました。

企業でも、多様性を活かすという考え方が出て、久しくなります。

 

しかし、求められる管理職像は一様です。

職種が変わっても、会社が変わっても、事業フェーズが変わっても。

 

 

あるベンチャー企業の話をします。

その企業では、リーダーはいますが、「管理職」という言葉がありません。

リーダーには、管理することを求めていません。

「リーダー全員には」と言った方が正しいですね。

 

他社には真似できないアウトプットを生み出すためにも、個々の光る部分に焦点を当てること。

組織として顧客利益を創造することが重要だと考えています。

 

そのため、リーダーは必ずしもマネジメントができる人と言うわけではありません。

事業に活きる強みを持つ人がリーダーとなり、プロジェクトを牽引するようにしています。

もちろん、人の能力を引き出すことが上手な人がリーダーになることもありますが、そういうのは苦手という人が上に立つこともあります。

マネジメントが苦手な人は、自分の強みを活かして、ガンガン事業貢献する。

その姿勢で組織を刺激することが、リーダーシップにつながっているのです。
マネジメントが苦手という点は、サブポジションを置くことで、組織的に補完しています。

例えば、チームや部署の中にプロジェクトマネジメントを担う人を配置したり、HR担当が横串機能として人の心身のケアを行ったりしています。

このHR担当は事業部長・リーダーと相談しながら、育成計画も描いています。

 

ポイントは、それらの役割に「どっちが偉い」という上下関係がないことです。

肩書きは全て役割分担なんですね。

 

こういう仕組みを採り続けている副次的な効果ですが、「先輩が後輩から学ぶ」という関係があちこちで見られます。

「社会人としては先輩だけど、この分野では後輩には適わないな」という点は素直に教わることができるため、お互いの専門分野が広がっていきます。

上司・部下関係でも同じ光景が見られるから面白いものです。

 

このことは、逆の視点から考えると、本質が見えてくるかもしれません。

一般的な企業は、プレイヤーとして優秀な人がマネジメントに上がるような道しかない。

そしてその軸も一本しかない。

だから、マネジメントも経験を押し付けるスタイルになってしまう。

だから、引き出す、鼓舞するのではなく、操作するようになってしまう。

だから、管理職が画一的になり、会社も多様性が生まれない。

だから、「管理職になりたくない」と思うようになる。

 

 

「管理職に全てを求めることを止める」と書きましたが、要は「マネジメントを一人に委ねない」ということです。

 

実務でバシバシ引っ張る人がいれば、人のマネジメントでフォローアップする人がいる。

そういう組織が面白いというか、健全な形なのではないでしょうか。

 

なかなかイメージがつきにくいかもしれませんが、私たちは身近なところで、この複数マネジメント体制を体感してきています。

それが家庭です。

父親がリーダーとして決断をしていますが、マネージャーとして家族(メンバー)一人ひとりのケアをする。

もしかしたら、長女がマネージャーのサポートをしているかもしれません。

 

こう考えると、ものすごく自然なことに感じます。

先述の企業は、サブポジションを組織体制に盛り込みました。

でも、もしかしたらこれは風土なのかもしれません。

チームのために、自分ができることを考える。

チームのために、自分の強みを活かそうと思う。

そして、お互いの強みを認め合い、それを活かそうとする。

 

そして、人材配置というものも本来はそういうものです。

人数的に補完することや、体裁を整えるために行うのではなく、「どうしたら、その人が活きるか?」「どの組み合わせなら、強みと弱みを補完できるか」を考えることが。

 

職場


林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。