社員を“顧客”と見るマーケティング

2016年5月25日水曜日


採用活動は、しばしばマーケティング活動に喩えられることがあります。

 

求める人物像を決めて(ターゲッティング)、

競合他社に負けない訴求ポイントを見出し(3C分析)、

どう訴えていくか(4P)に落とし込んでいく。

 

喩えるというより、マーケティング活動そのものですね。

マーケティング

 

 

でも、実際には、「採用活動はマーケティング活動」と言える時代は、とうの昔に終わっているのです。

 

もう気づいている人も多いと思います。

採用だけがマーケティング活動だけではないと。

そう、人材マネジメントの全てがマーケティング活動であると。

新規顧客開拓が採用活動ならば、入社後の人材マネジメントは既存顧客との関係深耕と同じだということに。

 

 

ものを売れば買ってもらえた時代から、ものが飽和した時代になりました。

それによって“売るため”の活動から、“選ばれる”ため活動が必要になりました。

 

そして、選ばれた後も、「ずっと」選んでもらうための活動を継続し、「もっと」選んでもらえるための活動も求められるようにもなりました。

顧客のファン化と、顧客内シェアの拡大と言われるものです。

 

それと同時に、マスに対するプロモーションから、個をターゲットにした(と本人に思わせる)プロモーション活動が行われるようになりました。

 

これ、全部同じなんですよね。

「入社したらそれで終わり」というのではなく、「ずっと働きたい」と思える会社・職場にしていく。

社員個々の時間・脳の容量が限られている中で、仕事についてもっと考えてもらうためにはどうすれば良いかを考える。

10人の部下がいたら、10通りのマネジメントで向き合う。

 

言ってしまえば、当たり前です。

マーケティングも、マネジメントも、人を対象にしていることですから。

 

そんなことは、“百も承知”なはずなのに、商売のことはしっかり作戦を考えるが、人と組織については、雰囲気で済ませてしまっている。

それが実態でしょう。

 

もちろん、どれだけ優れたビジネスモデルであったとしても、営業・接客フェーズでの対応が肝になるということは、マネジメント上も一緒。

どれだけ優れた教育制度、評価制度などの人事施策があっても、やっぱり現場での個々のマネジメントがないがしろにされてしまっては、機能しません。

 

一方で、

「おいおい、仕事と商売は違うだろ! だいたい仕事は給料もらってるんだぞ。

なんで、そんなことまで考えなきゃいけないんだよ!」

と思う方もいるかもしれません。

 

多分、商売も昔はそういう感覚だったんだと思います。

「ものが無いんだから、ものを並べれば売れる」。

「良いものさえ売れば、売れる」と。

 

情報の流通量が増えることで、ものを買うときに選択肢を持てるようになりました。

企業情報(つまり転職情報)の流通量も増えました。

それは、仕事、職場を選ぶことが可能な社会、生き方さえも選ぶことが可能な社会になってきましたということです。

 

「商売のことはしっかり作戦を考えるが、人と組織については、雰囲気で済ませてしまっている。」

と、偉そうに書きましたが、これは“社員への甘え”とも取れます。

 

これまでは、「顧客に甘えた会社」が消えていく時代でした。

これからは、「社員に甘えた会社」が消えていく時代になるかもしれません。


林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。