リーダーが生まれない理由はこれ。

2016年4月27日水曜日


「不謹慎狩り」という言葉が生まれましたね。

熊本での大地震をきっかけに、顕在化した言葉ですが、こういう風潮自体は初めてと言うわけではありません。

匿名で意見ができる環境が身近になったことで加速しましたが、インターネットが生まれる前からあったものです。

 

もちろん、不謹慎極まりない行動も中にはあるのでしょうが、もう一種の「同化圧力」でもあります。

 

「同化圧力」と書きましたが、「ピアプレッシャー」と言う方が最近では馴染みがあるでしょうか。

ピア(peer)は、英語で「仲間」「同僚」の意。

組織の規律や価値観、行動様式(と思われているもの)に、誰もが従わなければならないと思ってしまう傾向です。

「この仕事が遅れたら、チームの全員に迷惑がかかってしまう」という責任感は重要ですが、周囲の目を過剰に意識してしまうと、ストレスになります。

職場全体としての規律が整っているように見えても、個人のエネルギーを低下する要因となり、結果として非効率、思考停止な仕事に向かわせてしまっていることが少なくありません。

いつの間にか、、、職場のブラック化に繋がっていることも。

 

ピアプレッシャー

 

これは難しいところで、助け合いの文化が行き過ぎた結果、相互監視になってしまったり、違いを認めない風土になってしまったり。

個々が「良かれ」と思っての言動の結果であることが少なくありません。

逆に、“他人は他人、自分は自分”と割り切る職場も、良いものとは言えないですしね。

 

企業風土というよりも、日本の美徳とも捉えられるところです。

 

「良い」「悪い」でスッパリとで判断できないことではあるのですが、言葉を荒くすると「出しゃばるなよ」というもの。

「出る杭を打つ」傾向です。

 

「ピアプレッシャー」は多様性の阻害要因として取り出されることがありますが、視点を少し変えると、これがリーダーが生まれにくい理由でもあります。

 

だってそうですよね。

ちょっとした意見も潰されてしまうことが日常的だと、誰も意見を言いたくなくなってしまいます。

積極的な行動が押し潰されるようだと、誰もが指示待ちになってしまいます。

無言になって留まるか、愛想を尽かして辞めてしまうか。

 

今、多いですよね。

管理職になりたくない、前に出たくないという人が。

失敗を嫌うことや、他人の面倒を見るのは嫌だと思うことも一つの要因です。

が、それと同じくらい、目立つことで叩かれるのが嫌なんですよね。

それなら、他のメンバーと同じ目線でいた方が楽だと思って。

 

「草食系」とカテゴライズされる人が増えてきたようですが、そういう思いも背景としてあるでしょう。

そして、「草食系」という言葉が生まれたことで一つのポジションにもなったんですよね。

 

古き良き時代から受け継がれてきたものが行き過ぎてしまい、「同化圧力」「ピアプレッシャー」となる。

そして、多様性を阻むことになり、リーダーが生まれにくい組織を作ってしまう。

 

さらに、イノベーションが生まれにくい組織を作ってしまう。

10人中9人くらいがOKを出さないと動き出せないのですから。

もうそのくらいになったら、他社が先んじてやっているでしょう。

 

もう一つ付け加えると、不正を隠す体質も生まれます。

きっと三菱自動車もあったと思うんですよね。

良心を痛めながらも、「余計なこと言うなよ」というピアプレッシャーに圧迫され、「会社のためだから仕方ない」と自分達を正当化した雰囲気が。

 

 

ただですね、だからと言って「リーダーを生むために、イノベーションを起こすために、この雰囲気をどうにかしないといけない!」という議論は不毛のような気がするんです。

先述の通り、「良い」「悪い」でスッパリとで判断できないことで、良い方向に作用することもある文化です。

個々が「良かれ」と思ってやっていることでもある。

 

もし、この雰囲気を打開しようと思って、「同じ意見を押し付けるのはやめよう!」なんて言い出したとしても、それこそが「同化圧力」です。

今、「不謹慎狩りは問題だ」という意見が増えていますが、だんだんと「“不謹慎狩り”狩り」みたいなことになっています。

赤城乳業か!

 

……私は何を言っているんでしょう。。。

 

言いたいことはですね「同化圧力はあって当然」と思うこと。

それをリーダー的な立場になる人に言いたい。

リーダー的な立場になって欲しい人に言いたい。

今、リーダー的な立場である人に言いたい。

 

『嫌われる勇気』という本が物凄く売れましたが、そのタイトル通り、「嫌われること」を恐れないことが大事だと思います。

 

「嫌われ者になれ」とか、「反対意見は無視しろ」とか言っているんじゃないですよ。

…いや、待てよ。

私が言いたいのは、そういうことかもしれません。

 

リーダーシップっていうのは「嫌われること」と表裏一体な時があるんです。

優れたリーダーと言われる人は、一面では嫌われ者だったり、わがままだったりします。

人によっては、敵をつくることで求心力を高めていることだってあります。

 

フォロワーあってのリーダーですが、あるところで割り切ることも大事、覚悟することも大事。

「嫌われること」を。

 

今は多いようですね。

叱れない上司、決断できない上司が。

まさに、「嫌われること」を恐れてしまい。

 

言い直しになりますが、「同化圧力」がリーダーが生まれにくい理由なのではなく、「嫌われること」を恐れる傾向がリーダーが生まれにくい理由と言えるでしょう。

 

「嫌われること」を覚悟するって、とっても難しいことだと思います。

社会性のある人間と言う生物にとっては。

 

覚悟するために大事なのは信念。

「何を成し遂げたいのか」ということ。

それが自分目線だけでなく、より広く、高い視点で考えられるようになったとき、覚悟が生まれます。


林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。