自分の幕を上げていますか?

2016年4月4日月曜日


休日恒例のWOWWOW鑑賞。

今回は映画『幕が上がる』です。

 

ポスター

監督=本広克行  原作=平田オリザ『幕が上がる』(講談社刊)

 

良い映画でした。

でも、見る前は、まったく期待していませんでした。

 

あの、ももいろクローバーZの5人が主役となった映画です。

「どうせ、ももクロファンをターゲットにした映画だろう」としか思いませんでした。

ちなみに、私はももクロファンではありません。

耳に入ってくることはあれど、一曲を最後まで聞いたこともないくらいです。

「サブカル好きの高校の友達と話を合わせるために、とりあえず見ておくか。」という程度の、期待値という面では過去最大に低い状態で見た作品でした。

 

見終えて、良い映画だと感じました。

 

まずですね、思った以上にみんな演技が上手でした。

表情とか、声色の変化とか。

調べてみたら、ももクロの5人は演技を学ぶために、平田オリザ氏のところに通ったそうですね。

 

そしてですね、見たら誰もが感じると思います。

5人を始めとする高校生演劇部の顧問となる教師役を演じた、黒木華。

この黒木華の圧倒的な存在感を。

 

吉岡先生

 

演劇部の先生なので、演技の手本を見せるのですが、その瞬間「あ、スイッチが入ったな」って見えるのです。

映画の中だから、すでに演技をしているんですよ。

でも、そこからさらに演技に入る。

これすごくないですか?

ザ・シアター イン ザ・シアター!

 

「演技っぽい」というのではなく、「スイッチが入った」という感覚です。

 

その迫力や語りで、演劇の面白さにグイグイと引き込まれていきます。

映画の中の演劇部のメンバーだけでなく、映画を見る私たちまでも。

 

結局、ももクロファンにはなりませんでしたが、黒木華のファンにはなりました。

 

そのストーリーは王道。

弱小の高校演劇部が、新しく赴任してきた先生をきっかけに、部長が変わり、部が変わっていくという王道青春映画です。

 

新しく赴任してきた先生というのが、黒木華演じる吉岡先生です。

彼女は元々『高校演劇の女王』と呼ばれるほどの人物だったのですが、自分の限界を感じて演劇の道を断念してしまうんですね。

そして、芸術大学に進学し、美術教師になる。

 

だから、赴任してきた当時は演劇に携わろうだなんて思っていなかった。

ところが、部長の真剣な眼差しに根負けしてしまう。

意外とあっさりと。

王道ストーリーの幕開けです。

 

あ、ちなみに黒木華は実際に芸術大学出身者、舞台役者としてキャリアをスタートさせています。

 

ここからは完全なネタバレです。

 

顧問が変わり、部長の姿勢に変化が生まれ、部員全体に影響が出てきて、新戦力も加入する。

途中部員同士で衝突はあるものの、部長の巧妙な働きかけでチームワークが増していく。

失敗はありつつも、なんとか予選を突破し、より団結が深まる。

 

ああ、もうこれ、テーマが野球なら甲子園行ってますよね。

テーマがバスケなら、インターハイに行ってますよね。

テーマが競技かるたなら、、、映画館に行きましょう。

 

そして、クライマックス。

吉岡先生が辞めてしまうんですね。

顧問を?

いえ、学校を、教師をです。

 

もう一回目指すのです、役者を。

生徒の頑張る姿を見て、感化されていったのです。

 

吉岡先生からのお別れの手紙には、「あなたたちのおかげで役者になることに決めた」とあります。

成長を応援する立場の先生が、生徒の頑張りを見て、自分も成長する。

 

これもガチガチの王道ストーリーですが、ここまでガチガチなものは久々でした。

だからこそ、ぐっと来るものはありました。

「これが本質だよな」と。

 

話がガラッと変わりますが、4月に立場の変化が求められるのは新入社員や昇格者だけではありません。

肩書きが変わらなくとも、立場が変わる人がほとんどでしょう。

 

若手社員の中には「上を突き上げろ。先輩社員、上司を刺激する存在になれ」と言われている人もいるでしょう。

大事なことですよね。

 

でも、これ言われた方としては悩んでいることもあるのではないでしょうか。

突き上げろって言われてもどうすればいいんだよ、と。

 

もし、そんなことを思ったら。

自分にできることを、とにかく全力でやってください。

ただ、それだけです。

あなたの全力を見せ付けてください。

それが、一番の突き上げ、刺激になります。

 

新しいことを何かやるとか、どんどん発言するとか、上司の仕事をやってしまうとか。

そういうことはもちろん大事なのですが、単純に一生懸命っていうことが、本当に周囲の刺激になる。

 

一生懸命になると、質問も多く出てくると思うのですが、何気ない質問も素朴な意見も組織にとってはものすごく大事なんですよね。

 

「自分にできることを、とにかく全力でやる」というのは、当たり前のことなのですが、意外と見られないことにも感じます。

「全力、一生懸命がカッコ悪い」という風潮もあって、一生懸命さを見せようとしない。

質問も相談もカッコ悪いことのように思って、家に帰ってgoogle先生にyahoo知恵袋に聞く。

なんていうか、頑張っていたとしてもそれを見せないと言うか。

 

先述の映画になぞって言うならば、「幕を上げずに演じている」ような。

幕が上がっていないと失敗しても問題ないですよね。

でも、それって失敗してもいい環境をつくっているんですよね。

 

全力でやって失敗したらカッコ悪い。

言い訳ができない。

 

全然、カッコ悪くなんかありません!

 

全力で、一生懸命やって成果を高めることは言わずもがな。

自分に言い訳をつくらないっていうことが大事。

そして、その全力、一生懸命な姿勢で、周囲の意識や仕事を変えてしまう。

それがプロフェッショナルなのだと思います。


林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。