リーダーシップを育む自由研究

2015年12月15日火曜日


成城学園の自由研究が面白い。

 

来年2月に新校舎が完成する成城学園。

同時に、その新校舎の北側に約1000㎡超の広さの土地が生まれるそうです。

 

「この土地をどうしていきたいか」

これを自由研究のテーマとしたのは、高校3年生のある4人でした。

 

詳しくは下記にありますが、その中から少し抜粋すると、

「Memori」―高校3年生が考えた「100年の森」

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「ただ単に「自分たちがやりたいこと」を考えたのではなく、まず20年後(2035年)の未来に何が起こっているかを予測し、そこから同級生にも意見を求めながら森に何が必要かを議論しました。

 

プレゼンを受けた側は

「社会問題を考えてアプローチしたところが素晴らしい。目の覚める思い」(設計担当者)

「質が高くて驚きました。少子高齢化の中で生き続けていく今後の経営も考えていて…」(学校関係者)

とただただ脱帽。

Memori 「記憶(memory)に残る森」 (002)

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こういった点を読むと、「面白い」というよりも、ものすごく教育的価値が高い取り組みだと感じます。

自由研究の一つのグループのテーマでしたが、3年生全員対象のグループ学習にしてもいいくらいだと思っています。

 

「学校の敷地をどう活かす?」と考えるのは、生徒はもちろん、地域の人・教員・保護者の目線も考えることになります。

生徒とは自分たちではなくて、これから入学してくる人の事です。

「入学したいと思える学校にするために」という視点が重要です。

 

・長期視点を持って考える

・他者視点を持って考える

・コンセプトを表す

・伝わる言葉で、イメージ表現する

 

そんな要素が詰まったこの自由研究。

こういった経験は色々なことで生きるものです。

 

そして、これらは全てリーダーシップ、フォロワーシップをとる上で、ものすごく重要なものです。

学校という場だけのリーダーシップではなく、あらゆる組織のリーダーとして。

 

しかし、今、企業の経営者や管理職を見ていると、「こういう職場にしたい」「こういう会社であるべきだ」という構想を持てている人が驚くほど少ないことが現状です。

(これは、そんな経験を積ませられない日本の学校教育の問題でもあると思っています。)

 

経営者も管理職も組織運営者であり、それは組織の力を最大化する役割です。

 

もちろん、業績の向上が企業としての重要課題であり、そのために事業戦略を回していきます。

しかし、その事業戦略の実行の担い手である、人や組織についてはあるべき姿や、それを実現するための作戦が考えられていないのです。

 

自社のサービスの魅力を最大限伝えるためにはどんな人材が必要だろうか。

他社との違いである〇〇を活かすためには、どのような組織間コミュニケーションが必要だろうか。

そういった人材を育て、それを活かす風土を作るためにはどのようなリーダーシップを取るべきだろうか。

また、それを継続させるためにはどのような体制・配置であるべきなのか。

 

そういったものを考え、設計することで、事業がうまく回り始めます。

 

 

また、人材の流動化が激しい今の時代では、「その組織に所属することが自分にとってどのような意義があるのか」を認識させることが重要なことは言うまでもありません。

ビジョナリーであることが優秀なリーダーの条件と言われていますが、会社のビジョンに興味がない人もかなりいます。興味があるのは「自分のキャリアと会社が、どのように関わるか」です。

リーダーは事業を回す機能としての組織だけでなく、「所属する個人のための組織」という目線で組織を考える必要があります。

つまり、会社の行く末や事業内容と、部下のキャリアを関連付けて伝えることが求められます。

 

目指そうとしている姿を見せて、そこへの共感・納得感がなければ、学ぼうともせず、仕事の進め方を変えようとはしないでしょう。

叱ったり、脅かしたりして行動を変えようとすることは、対処療法に過ぎません。

一時的に効果があっても、上司が言わなくなれば元に戻りますし、言われたことしかやらない社員を育てるだけです。

 

 

「こういう職場を作りたい」。

これを考えることは経営者・管理職の役割の一つなのです。

 

ただ、管理職になってからは身につかないものかもしれません。

頭の中が先入観としがらみで、がんじがらめになってしまい、自由な発想で理想の状態を考えることができなくなっているということも考えられます。

 

 

成城学園の事例は学校教育として素晴らしいものですが、個人的には高校生でなく、小学校からやっても良いのではないかと思っています。

「自分たちが住んでいるところをどんな地域にしたい?」

「そのためには学校はどんな場になっていたらいいかな?」

「また、これから入ってくる後輩たちにどんな学校を残したい?」

みたいなことを小学6年生くらいから考えて、中学・高校と次第に視野を広げていく。

そうすると、先述のように長期視点、他者視点が身につき、リーダーシップ、フォロワーシップをとれる人材が育ってくる。

一方で、地域も次第に広げていくことで、国や世界という視点で物事を考えるようになり、政治や外交に関心が広がり、投票率も変わってくるのではないでしょうか。

 

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林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。