評価制度のジレンマ

2015年10月13日火曜日


評価の時期。

ある企業の評価会議に毎期同席しています。

この企業では部署ごとに評価会議を開催し、部長・課長にフィードバックが役員から行われます。

評価の根拠の確認であるとともに、個々の教育計画を役員と管理職とで話し合う場でもある、この評価会議。

見方を変えると、ここで受けるフィードバックが管理職自身の最高の教育の機会ともなっています。

そのため、役員からのフィードバックにも毎年変化が見られます。

今の評価制度を運用スタートさせた頃には、

「この評価項目の意味はこういうことを指しているんだ」

「その行動では高い評価点には値しない」

「最近の行動だけを見て評価をつけてはいけない」

といった、評価制度を適切に運用する方法や評価目線をすり合わせるためのフィードバックが主でした。

 

しかし最近では、

「評価制度のロジックに縛られるな」

「評価シートの欄外を上手く使え」

などの、むしろ運用ルールから逸脱することがメッセージされます。

 

あまり長い期間、同じ評価制度を運用し続けると、“慣れ”が生じてしまうんですね。

評価することが作業のようになってしまうということです。

「去年はああいう行動をとったら、この項目で評価4だから、同じようにしよう」

「評価会議ではこういうふうに言えば、役員も納得するだろう」

といった具合に。

 

これは言わば、“評価制度のジレンマ”です。

 

一定のルールに則って適切に運用してくれなければ制度の意味がないのですが、そのルールに縛られてしまうと、その評価結果は非常に無機質なものに感じられます。

制度の複雑性と運用の柔軟性における二律背反とも言えます。

 

このジレンマは乗り越えるには?

乗り越えるというより、信念を持ってぶつかると言ったほう良いでしょう。

「部下のため」という信念を持って。

 

この評価点をつけることが、「部下のため」になるのか。

部下が一層成長するには、どのような評価が良いのか。

部下が貢献意欲を高めるためには、どのような評価が良いのか。

 

もちろん、評価制度を構築する段階で、人事や経営者は上記のような想いを持って構築しているでしょう。

しかし、制度は絶対的なものではなく、事業フェーズが変わることで評価内容も徐々に変化してくることは、言わずもがなです。

 

評価制度はマネジメントの支援ツールになるものです。

ただし、あくまでも「支援」ツールであることを、評価者は肝に銘じるべきでしょう。

 

評価シート


林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。