擬人化される理念

2014年12月9日火曜日


理念を作って、あとは手付かず。

そういったパターンに陥る背景の1つは、理念を擬人化していることにあります。

 

理念は経営者の思いや、会社として提供したい価値を明文化したものです。

明文化する意味はいくつかありますが、教育的要素を求める経営者の方も少なくありません。

特に、自分の後継者・分身となる人材が欲しいと考える中小企業の経営者の方に多い感覚です。

 

経営者の考えを行動指針にまで落とし込むことで、社員の判断の拠り所にすることは大切なことです。

しかし、「自分の考えを明文化すれば、あとは勝手に育つ」、言い換えれば、「理念が勝手に教育してくれる」と錯覚してしまってはいけません。

 

理念・行動指針は育成担当者ではなく、あくまでツールです

理念を伝えていくのは人であり、理念に血を通わせるのも人です。

 

たしかに、行動基準にまで落とし込まれていれば、判断の拠り所となります。

しかし、いかに明文化されたとは言っても、文字を見て判断するのは個々であり、徐々にズレた理解も生まれていきます。

理念任せにせず、定期的に経営者自らの想いを伝える機会は欠かせません。

社員と経営者の距離が近い、規模の小さな企業においても言えることです。

 

もちろん、経営者の方が忙しいからこそ、明文化した理念に頼るというケースもあるでしょう。

それでも、後継者・分身と言える人を育てるのであれば、形になった言葉だけに委ねることはできません。

ともに培った経験や直接かけられた無数の言葉を経て、理念に込められた想いやを理解することができるためです。

 

仕組みや仕掛けは、それをどう使うか、どういう姿勢で使うかによって享受者の受け止め方が変わります

理念の毎日の唱和や振り返りの機会も大切ですが、その旗振り役の方の共感度が影響を与えます。

 

理念・行動指針はツール。

理念構築と同時に、想いを伝える人を育ててこそ、互いが生きるのです。

 

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林 直人Naoto Hayashi
組織変革コンサルタントとして、教育研修プログラム設計や講師、企業理念構築・運用などに従事。